今から20年くらい前のことです。
お母さんの集まりなどに呼ばれて、
講演とは言えないまでも、
お話会のようなところでお話するようになりました。

とにかく「子育てを楽に、楽しくしたい!」って思っていた私は、
具体的な生活の知恵のような、
子育て生活のヒントになるようなことを
いくつかご紹介していました。

でも、「わかっててもできない」
「いいことだと分かってるけどできない」
というような反応も多かったです。

そうだよね。だからつらいんだよね。
焦るし、自分を責めるんだよね。

今回の講演では、
「こうしてみたら?」を全部、スッパリ、削ってしまいました。
子育てハックのようなもの。全部。

そもそも、親って完璧じゃないとだめなのか?
いろんな工夫をして、頑張る人が
いい親で、
頑張れない人はいい親じゃないのか?

日本の子どもたちの自己肯定感が低いと言われています。
いや、日本人全体の自己肯定感が低い。
それは、がんばりすぎちゃうからじゃない?

私が頑張っちゃってたみたいに、
「ちゃんと子育てしなくちゃ」
「楽しく子育てするには」
と、自分を追い込んでるから、
どんどんつらくなるんじゃないか?

私なんかいい親じゃない。
私なんかの子どもはかわいそう。
私なんか…私なんか…

そうか、そもそも大人の自己肯定感が低いんだ。
もっと頑張れる。
もっとできる。
できないのは私が悪い。
そういう思考回路ができているからなんだ。
(そう思わされてきたから かも?)

だから、今回の講演では、
「子どもは育てないと育たないの?」
「いい親の子は絶対いい子になるの?」
「悪い親の子は絶対悪い子になるの?」
というお話をしました。

赤ちゃんのお世話未経験の、
人生経験もわずか2-30年しかない、
そんな人が完璧にできるほど
育児は簡単じゃない。甘くない。
できなくて当たり前。
未熟で当たり前。
手抜き上等!

どんな親だって、
子どもたちは自分に備わっている
「生きていく力」「育っていく力」を
その子なりに発揮して育っていく。

経験もないのに、
初めてなのに、
教えてくれる人もいないのに、
毎日朝から晩まで赤ちゃんと向き合って、
ああかも? こうかも?と思いながら、
お世話をしてきたあなたは偉い!
すごい! かっこいい!
ほんとうによくやってる!

その上に、何かをしないと、
子どもがちゃんと育っていかない、というのは
思い込みじゃない?
誰かから、思い込まされてたんじゃない?

子どもたちの自己肯定感を上げるには、
まず、近くにいる大人たちが
「私はなかなかよくやってる」
「私ってなかなかすごい!」
って、自分を認めることからじゃないのか、
そんなお話をしました。