月曜の仕事帰り、
ツイッターで話題になっているのを見て、
一気に元気と食欲がなくなってしまった話題。

ごくごく短く紹介すると、
新聞にこんな投稿がありました、と。

生後半年の赤ちゃんを抱いて病院に行ったら、
待合室で行き合った80代くらいの高齢女性が
かわいいわね~と、わが子の素足を触った。
免疫力もないわが子を触られるのには抵抗がある。
病院が混んでいたので、一旦帰宅。
出直す時には、また触られるかもしれないので、
念のため靴下をはかせて行った。
そうしたらその女性がまだいて、
今度は赤ちゃんの手を触ろうとしたので、
あわてて自分の手で覆った。
にもかかわらず、
「手は洗ったから大丈夫よ」と強引に触られた。
かわいく思ってくださるのはありがたいのですが、
許可無く触るのはやめてください。

私の要約であることをご了承ください

それに対する反応には、2種類。
おおむねお母さんに味方するものが多かったように思えました。

自分は大人だけれど、
人に触られるのには抵抗があるから、
わが子ならなおのこと嫌だ。

かわいいからといって、
勝手に他人に触るべきではない

そこは病院なのだから、
どんな病原菌を持っているかもわからない。
老婦人が配慮すべきだ。

お母さんが嫌だと言っているんだから、
それを無視して触るべきではない

逆に

そこまで気にすることはないんじゃないか

子どもを無菌状態に置くことはできないんだから、
そのくらいのことで神経質すぎる

かわいいと思って触ろうとした老婦人が気の毒

などなどの意見も。

むむむむむむむ

どちらの気持ちもわかる。
見ず知らずの人が近づいてきて、
抱いているわが子にいきなり手を出してきたら、
私も一瞬身構えてしまっただろうと思う。

でも、ニコニコ笑って「かわいい」と言ってくださる
高齢の女性だったらどうかなぁ?
どうぞ、どうぞ、触ってやってください、
なんなら抱いてやってください、
くらいに思ったんじゃないかなぁ?

あ、でも、病院だったらいやだったかもなぁ?

もちろん、そんな小さな事気にしてたら子育てなんかできないよ
という人の意見には大いに共感できる。

そもそも病院にいる時点で、
空気中にはウイルスがうようよだろうし、
街中を歩いても同様。
靴下ひとつ履かせただけで、
それに対する
何か大きな防衛策になるとも思えない。

これからハイハイが始まり、
ヨチヨチ歩き出し、
やたらあちこち触って、
その手を口に入れるようになる。

おとなしいから何をしているのかと思ったら、
部屋の隅にたまったホコリをつまんで食べていたりもするだろう。

もしかしたらそれで病気になるかもしれないけど、
そうやって親も子も、
強くなっていった、というのも実感。

でも、今、生後半年のお子さんを連れて街に出たママに、
それを理解しろっていうのは酷だとも思う。

ハイハイして、床に落ちたおもちゃを口に入れて遊ぶのに、
ずっとほ乳瓶だけ消毒していた、っていう愚かさに気付くのは、
ずっとずっと後のことだったりするわけだし。

これまで言い続けてきたことなのだけれど、
子育てはノウハウでもテクニックでもない。
精神論でもない。哲学でもない。

単純に「生活」

日々の営みとして受け継がれていくはずのもの。

なのに、何も伝承されていない。
生まれて初めて触った赤ちゃんがわが子、ってのは
もうあたりまえになってきた。
30数年前の私もそうだった。

誰も教えてくれる人などなく、
核家族で、ほぼワンオペで、
手探りでやってきたからこそ、
身についたものはあると思う。
でも、無駄な回り道も多かったなあと思う。

ちょっと小耳にはさんでさえいれば、
右往左往しなくてもよかったことを
次に続くお母さんたちに
微力ながら伝えていく仕事をしたいと、
30年頑張ってきたけど、
ぜーんぜんやがな! と落ち込んだ。

子育てしているママの気持ちを
その気持ちを人に伝える余力もないほど
頑張っているママたちの気持ちを
代って伝えていきたいと、
そうも考えていたけど、
それもぜーんぜんやがな!

せめて
病院の待合室で、
居心地悪く苦しい思いをしたママが、
新聞の投書欄にこんなことを投稿しないでいいような世界、
もっと身近なところで、このもやもやを受け止めてくれる人がいる世界に
なってほしいなぁと、心から、切に願う。

本を書いて伝えられることは本当にわずかでしかない、
そんな無力感を抱きつつ・・・・・・