私の知り合いの息子さんは
ある個人種目で
中学3年生の時点で全国レベルの活躍。
それも、日本で3本の指に入るレベルでしたから、
日本中の高校からスカウトが来て、
中でも全国大会の常連、
毎年日本一の選手を輩出しているところに進学も決まっていました。

進学も決まり、
自分が取り組む種目の競技も一段落したところで、
別の部活から助っ人の要請。
「ちょっと出てくれないか?」と言われて、
未経験のその種目で簡単なルールを教わり、
試合に出たところ、あれよあれよの大活躍。

元々運動神経がよかったせいもあるのですが、
チームが県を越えた地区大会で優勝するのに、
主力選手として貢献する活躍を見せたのです。

ここで彼の気持ちに変化が起きます。

それまで取り組んでいたのは個人種目。
たまたまご縁があって関わりを持ったチームスポーツで、
みんなで協力して勝利を目指すことのやりがいに目覚め、
そして勝利を手にしたときの喜びをみんなで分かち合うことを
とても新鮮に感じてしまったのです

そして、共に戦った仲間のほとんどは、
そのスポーツでは、県でもトップレベルの高校に
揃って推薦での進学を決めています。

でも、自分は家から遠く離れた高校に
すでに進学が決まっている。
今更どうにもなりません。

ところがところが
その大会での活躍に目を付けたその高校は、
もう推薦入学の期限も過ぎたその時期に
なんと、彼にも「来てくれないか」と
オファーしてきたのです。

彼は大いに悩みます。
すでに進学が決まっていたのは、
お父さんの知り合いが監督を務める高校。
お父さんがそれをどんなに喜んでいるか、
また、家から遠く離れたその高校に進学させるために、
両親がどんなに頑張ってくれたか、
彼はよく知っていました。

でも、どうしても仲間と一緒に進学したい気持ちが
抑えられないのです。

それで、勇気を出して
「進学先を変えたい」と正直に気持ちを打ち明けます。

案の定、
お父さんは烈火のごとく激怒。
周囲でお世話になった方々に対しても、
また進学を断ったたくさんの高校の関係者にも、
とても許されることではないと、
本当に火を噴くように、
強い言葉で罵られました。

【次に続きます】