唐突に思われるかもしれませんが、
私の人生、「かわいい」とは無縁でした。

生まれ落ちた体重は「4000g」
つまり4キロ。
通常分娩不能、と緊急帝王切開。
生まれてきてみたら、
「でかい!」

※担当の助産師さんが、
お嫁入りの時にこのへその緒持っていかせるのは
かわいそうだから、と
へその緒の箱には「3900g」って
改ざんしてくれた。

どのくらいでかかったかというと、
私に会いに来た祖母が、
ガラス越しに新生児室を見て、
「まあ、立派な赤ちゃん!
あんな跡取り(←男の子と思い込んでる)を
産んだお母さんはお手柄よ~!!」って
感嘆したという。

そして、その「立派な跡取り」が
自分の孫娘だと知って、
卒倒しそうになったという。

さらにサイズがでかいから、声もでかい。
新生児室に並べておくと
「ほかの赤ちゃんがゆっくり眠れないので、
お母さんのそばにいさせてくださいね~」って
早々に母のそばに連れてこられたそうです。
緊急帝王切開で、ろくに麻酔もきかないうちに
おなか切られていた母は、ぐったりしてたのに、
大声で泣く私までそばに連れてこられて、
気の毒なことでした。ごめんね。今更だけど。

そこからは「でかい」街道をまっしぐら。
もう60年も前のことだから、
差別的になるのはお許しいただきたいのですが、
やたらサイズが大きいのに、
できることは月齢、年齢なみ。
見た目は大きいのに、歩けない、
話せない、さらに動きが鈍い。

周囲の方の私を見る目が
「障害があるんだな」的な。
そんな感じでした。

幼稚園の運動会でも、
一人だけ、小学校3年生くらいの子が混じってる。
頭一つ大きい。
いやでも目立つ。目立ちたくないのに目立つ。
小学校を卒業する直前まで、
学年で一番背が高かったのが私。
卒業間際の身体計測で、
「ホウライくん」が、私より3ミリ大きくなってて、
それだけでホウライくんに恋しそうになった💗

そんなだからもう母も開き直っていて、
電車とか「大人の切符」を買う。
「小学生までは子ども料金ですよ」って言われても、
改札通るたびに「中学生からは大人料金です」って
呼び止められるんだから。
「もうっ! 毎回毎回めんどくさい!」ってことで。
大人料金払ってた。貧乏なのに。

だから、ずっと猫背で、
目立たないように、
気配を消したいと思いながら育ったんです。

かわいい洋服だって着たかったけど、
フリルフリフリの洋服を母に作ってもらって着たら、
「仮装大会」みたいになった。想像してたのと違う。
ぜんっぜん違う。ドリフターズの人が女装してるみたい。
靴下ぐらいは、と、
かわいいのを買ったら、
私の脚が太すぎて、柄がびよよーんと横に伸び、
なんの柄かも判別不明になるとかね。

もう「かわいい」を目指すのは
無理がある。そういうキャラ。
そういうふうに無理やり自分を納得させ……

で、60歳ですよ。

人生はいつ何が起きるかわからない。
去年あたりから、
まあ、あらゆる人に

かわいい
カワイイ
Kawaii
きゃわいい

言われまくり。

今まで59年ぐらい、一度も言われたことのなかった形容詞を
ここで一生分コレクトしてる感じです。

正直「今じゃない」感はある。アリアリ。
でも、それでもうれしい。すごくうれしい。
ありがたい。泣きそうなくらい。

今「かわいい」が手に入らなくて、
がっくりきたり、
「かっこいい」とは縁遠くて
むーん となってる思春期の皆さん!

生きていれば、こんなこともあります!
未来の自分が「かわいい」とか「かっこいい」に
まみれている姿を想像して、ニンマリしながら、
今日も楽しく生きてください!←なんのこっちゃ?

かかし座のクラファンも引き続き行われています! 今日が最終日