もう20年以上前のことになるのですが、
母が「ちょっと調子が悪い」というので
近くの病院にかかったら、
家に必要なものを取りに帰る時間も与えられず、
そのまま緊急入院になったことがありました。

先生のお話では
心臓に重篤な問題がある、というのです。

入院したらすぐ、各種検査が始まるのですが、
それぞれについてリスクがあり、
その一つひとつに対して、
本人と、唯一の家族である私に
承諾書へのサインが求められました。

中でもカテーテルを入れての血管造影は、
何千人かに数人、血栓が飛んで、
脳梗塞とか、心筋梗塞など
命に関わる場合がある、とのこと。

でも、正確な診断をしていただくには、
やはり検査は必要です。

その日の朝までは
普通に生活していて、
「ちょっと調子が悪い」程度で病院に行ったら、
こういう展開になってしまって、
いろんな意味で落ち着かず、不安でいっぱいの母。
私は、母をなんとか励まそうとこう言いました

「まあ、そうは言っても1000人に一人とかだしね~」

それを聞いて、そばにいたお医者様が
「確率はどんなに低くても、
当たれば100%ですから」
とおっしゃったのです。

そんな~。
不安でガチガチの人を前に、
そんな身も蓋もない言い方は・・・・・・

と うっすら先生を恨みましたが、
よくよく考えてみれば、
先生のおっしゃることのほうが正しい。

たとえ100万人に一人だって、
当たればその人にとっては100%なんですよね。

それ以来、いろいろな確率から判断しなくてはいけない場面で、
「当たれば100%」と心の中で唱えるのが習慣になっています。

今回のコロナワクチン接種についても、
いろいろ調べてみるけれど、
どれが正しいのかはわからない。
ただ、接種を受けたら9割以上の確率で
重症化が避けられる。
貴重な医療資源に負担をかける可能性が低くなる
というところが私の判断基準でした。

ただ、接種の翌日、翌々日に、急に心臓の発作や
脳梗塞などで亡くなった方がいらっしゃるのも事実。
ワクチンとの直接的な相関関係は不明、だけれど、
ゼロではなさそうな気がする。

こんなことなら感染した方がラクだったかも、
というくらいの副反応に苦しんだ人もいらっしゃる。

そして、私たちの耳に入ってくるのは、
やはり「確率がどうであれ、当たってしまった人」のお話し。
無事で何事もありませんでした、ではインパクトがなく、
人から人へ伝わりにくいからですね。

そんな中、前回も書きましたが
私も「もう、接種前から副反応が起きてしまう」くらいの勢いで、
不安でいっぱいになりながらの、二度目の接種でした。

ただ、一回目も感じたのですが、
大規模接種会場の仕切りの良さはお見事です。

不安をあおることもなく、
だからといって、不必要にはげますようなこともなく、
サクサクと、淡々と、接種、そして待機まで
いくつかのプロセスが進んで行きます。

お話しに聞くところによると、
旅行業界で添乗員などのお仕事をなさっていた方が
派遣されていることが多いとか。
さもありなん、と思いました。
うまく言えないけど、
なんか雰囲気が落ち着いているのです。

この雰囲気の中、もし万一があっても、
きっと適切に対応してもらえるんだろうなあ、
という信頼感のようなものがありました。
そして、それでも何かあったら、
それはもう運が悪いと諦めよう、と
考えていました。

これから、私たちより若い年代の方が
どんどん接種対象になっていくことと思います。

いろいろな情報を集めて、
最終的にどうするかは本人にゆだねられるべきだと思うし、
「接種しない」と決めた人が
「ワクチンパスポート」を持たないという理由で
旅行や外出に不自由さを押しつけられるのは違うなぁと思います。

そして、やはり、
誰かの話は参考にはなるんだけど、
「私の場合」とは違うんだということ。
ワクチンに限らず
子育てでも、教育でも、人間関係でも、
そこはしっかりと踏まえておきたい。
じゃないと、何かがあったとき、
誰かのせいにしたくなっちゃう。
そこは共通なんだなぁと思いました。