つい前日ですが、若いお友達が数名来宅。
そのうちの一人で現役の警官で、
夏休みの今、家出する子が増えているという話に。

捜索願が出ると、
街を巡回し、
「あれ?」という子に声をかけて歩くのだ、
ということでした。

ああ、そういうこともするんだね~、なんて、
高校生時代から知っている彼が
本当に立派になったことに「ジン」としながら聞いていたら、
ふわっとよみがえった記憶。

そうだ、私も家出をしたことがあった

中学3年生、
夏休みも終わりのこの時期、
もう何もかもが嫌になって、
友だちと二人、大阪から東京を目指して家出したのでした。

当時はATMが夕方までしか使えず、
二人が当座持っているお金を合わせても名古屋までしか行けない。
でも、衝動は抑えられない。

とりあえず名古屋まで行こう。
そして、翌朝銀行でお金を下ろして
東京まで行こう。

そう決めて、新幹線に乗り、
名古屋駅に到着。

ネットも携帯も何もない頃だから
名古屋のことも何も知らない。
調べようもない。
その辺の人に「一番の繁華街は?」と聞いて、
「さかえ」というところを教えてもらい、
そこに移動。

経験上、ブラブラしていたらナンパされることは
確信していたので、
気の良い男の子たちと、
今で言う「オール」できたらいいなぁって。

案の定、地元の大学生が声をかけてきて、
一緒にディスコに行き、踊り、
このまま朝までかなぁって思ったら、
彼らがすごく良い子たちで、
「ホテルまで送ります」と言って、
おくってくれちゃった(-_-;)

「じゃあ名古屋駅でいいです」と言って
駅前で別れたけど、
ホテルに泊まるお金もなく、
~中略~(~_~;) で、なんとか朝を迎え、
九時の開店と同時に銀行に行って
お金を下ろそうとしたら、
銀行員のみなさんに取り囲まれて「御用だ!」

とにかくなんでもいいから家に電話しろと言われ、
しぶしぶ言われたとおりに電話して、
「帰りの新幹線代だけ下ろさせてください」と頼むも
「そんなもん信じられるか!」と親たちに一蹴され、
「じゃあどうやって帰れって言うんだよ!」とすごんだら、
「タクシーにのらんかい!」とすごみ返されて、
銀行で用意してくれたタクシーに乗って、
二人ですごすご帰宅したのでした。

たった一晩の家出

あのとき「家を出よう!」と思ったのがあと一時間早くて、
銀行でお金が下ろせて、
東京まで一気に行けたら、
人生変わってただろうなぁ。

いや、やはり中学生だったんだから、
どこかのタイミングで連れ戻されたかもなぁ。

一緒に行った友だちは、
すごく仲良かったわけではなくて、
たまたま「家出したい」という衝動がぴったり合って、
二人で行動に移しちゃったって感じ。
東京に着いたら、すぐに別行動してたかもしれないなぁ。

あのあと、
オカネモチの彼女の両親から
「よく一緒にいてくれた」とか言われて、
和服一式お礼にもらったんだったなぁ。
あの着物、まだうちにあるなぁ。

何より驚いたのは、
45年前のことではあるけど、
すっかり記憶から抜けていたこと。
けっこう大きなできごとなはずなのに、
その後私の人生に起きた、
もっと大きないろいろにかき消されて、
思い出の戸棚の後ろの方にしまい込まれてたんだなぁ。

じゃあ、連れ戻されて、
心を入れ替えたかと言うと
全然そんなこともなく、
さらに自暴自棄というか、
もうどうでもいいや感が募り、
そこから数年間は「ぼんやり」と過してたような気がする。
高校三年間は、私の思い出からはすっぽり抜けちゃってるし。

あのときの私に、
あなたは還暦前まで元気に生きて、
ズンバやって、
ヨガやって、
ふうふういいながら仕事して、
孫がいて、
息子一家はアメリカに住んでて、
娘の旦那も海外赴任してて、
夫と二人、湘南で暮してるよ、って言っても、
絶対信じないだろうなぁ。

30歳までには死ぬ気でいたし、
生きてられないと思ってたし。

この夏、あのときの私みたいに、
本当に衝動的に「家を出たい」と思った子どもたちが、
何かに守られて、危険な目に遭いませんように。
何年かかってもいいから、
もう少し生きててもいいかな、
もう少しがんばってみようかな、と思える何かに、
出会えますように。

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