昨日の投稿でも書きましたが、
今回シェムリアップで過した10日間に、
4人のガイドさんにお世話になりました。

みなさん、遺跡のことをよく勉強しておられたし、
日本語も、会話するには十分。
なんの問題もありませんでした。

だから、これからアンコール・ワット観光をなさる方は、
ぜひぜひ、日本語が話せるガイドさんと回ってください。

ただ、浅薄な知識しか持ち合わせていない、
極東の島国のアラカンでは、
ちょっと太刀打ちできない、というか
踏み込んではいけない部分も感じました。

それは政治・経済についてのスタンス

カンボジアといえば、
クメール・ルージュ
侵略と占領を繰り返し、
国土の大半を失った貧困な国を建て直し、
よりよいものにしようと始まった共産化が暴走し、
内戦→ポルポトの大虐殺につながった、
という、負の歴史。

ごくごく短くまとめましたが、
ベトナムやタイとの関係、
フランスとの関係、
アメリカとの関係、
宗教問題など
本当にフクザツに入り組んでいます。
これはアンコール・ワットの時代から連綿と。
私が語るには力不足なので、ぜひいろんな資料を当たってみてください。

カンボジアには、
私たちから上の年代の人が極端に少ない。

40-44歳の人ががくんと少ないのは内戦の影響

ちなみに日本はこう

びっくりしちゃうくらいの高齢化

ヨーロッパもそうなんでしょうけど、
隣国と陸続き、という国のイメージを
私たち日本人は持てていません。
国境と聞いたら、
日本の海みたいに、
よくあるお城みたいに、
大きなお堀とか、
城壁とかがあって、
容易に超えられない、と思いがち。

でも、陸が続いているということは、
国境全てに長大で強硬な城壁がないと、
(たとえあったとしても、
そこを守る人と武器がないと)
簡単に攻め込まれ、占領されてしまうということ。
これは、戦国時代の日本でも起きたことです。

占領されたり、難民化して他国に逃れたり、
些細な理由で虐殺されたり・・・・・・

そんな中で、行き過ぎた原理主義を保持するのに、
知的階級といわれる人たちをどんどん殺したポル・ポト政権は
「悪」だという位置づけが単純な私の思考。
(虐殺されたのは150万人とも200万人とも言われます。
人口の1/4とか、1/3とか、とにかくものすごい数の犠牲者。
最後はメガネをかけているから知識階級、
文字が読めるから知識階級、
両親が知識階級だったから乳児も知識階級。
末期には殺すための武器を惜しんで、まさに虐殺だったと。
キリングフィールドは国内に点々とあります)

でも、4人のスタンスはそれぞれ違いました。

王国になってもまだ共産主義、中国やベトナムの影響を受けている
カンボジアの経済的な発展はとてもゆるやかです。  
経済の発展より、安心安全安定を望む人も多い。
自給率も高いので、あくせくしなくても生きてはいける。
まだまだ地方の農村での識字率は低くて、
歴史、政治、経済について、
どれだけの人が理解しているかもちょっと不明。

その中で、ある意味成功者である彼らが
これからのカンボジアを考えた時、
クメール・ルージュやポルポトを正しい、
(虐殺はともかくとして)と捉える考え方もある。
いやいや、もっとアメリカに寄り添って、
経済発展すべきだという考え方もある。
今の王政に対する不満もあるかもしれない。

私は今回の旅行で、
余裕があったらキリングフィールドに行きたかったのですが、
軽々しく「キリングフィールドに連れて行ってください」と
言えない雰囲気がありました。
いや、行きたいです、とはつぶやいたものの、
それがドライバーさんには伝わらなかったようだし、
ガイドさんたちも「時間がない」と積極的ではなかったように思えました。

そして、今の日本のことを考えます。

私たちアラカン世代は経済はともかく、政治について、
家族の間でも、友人同士でも、話してこなかったなぁと。
戦後の高度成長と、続くバブルに浮かれ倒して、
政治に対する肯定感を強く抱いた世代だと思います。
SNSの発展で、いろいろな考え方があることも知り、
バブル崩壊やリーマンショック、
阪神淡路大震災 東日本大震災などの大災害を経て
政府に対する大きな不満も感じながら、
それでも、実際に政治について日常的に語りあうような空気はありません。

気軽なおしゃべりに、政治と宗教の話はタブー、と言われますが、
今まさに全ての価値観をぐるりとひっくり返さねばならない時代が
もうそこまで来ている。
そこで、自分はどの立ち位置にいるのか。
どちらに進んで欲しいと思っているのか。
しっかりと考える時期に来ているのではないかと思います。

そしてもう一つ、
コロナ禍が始まる前のシェムリアップで、
この感染症の行方を憂いつつ、
それでも、こうも思いました。

「病気も怖い、事故も怖い。
でも、百万人を超える人を主義主張のために殺せる人間が一番怖い」って。